大ヒットした "The Dell-Vikings" の "Come Go With Me" と "Whispering Bells"，ウェブサイト "Marv Goldberg's R&B articles - The Del Vikings" の資料から，レコーディング・セッションの経緯を要約しました．

“The Dell-Vikings” は，リハーサル中の1956年10月，ピッツバーグのDJ ”Barry Kaye” の地下室でアカペラ9曲を録音．デモテープを聴いた ”Fee Bee Records” のディストリビューター ”Joe Averbach” は 感銘を受け，1956年12月にピッツバーグの ”Penn Sheraton Hotel” に設置されたスタジオで正式なセッションを行ないました．1956年12月にリリースされたシングル ”Fee Bee 205” は，リードボーカル ”Norman Wright” の ”Come Go With Me”，リードボーカル “Kripp Johnson” の ”How Can I Find True Love” でした．”Barry Kaye” の後押しもあって，”Come Go With Me” が地元で評判となり始めたとき，マスター音源は メジャーレーベルの ”Dot Records” に売却され，1957年1月にリリースされました． 1957年2月には，”Come Go With Me” は 全米R&Bチャート2位，Popチャート4位に到達しました。

2回目のセッションは，1957年2月に行われました．“Fee Bee 210” は，C＆Wシンガー “Joey Biscoe” が自作した "What Made Maggie Run"（ クレジットは，”The Dell-Vikings ＆ Joey Biscoe” ），リードボーカル “Kripp Johnson” の “When I Come Home” でした．このシングルは，“Fee Bee Records” と ”Dot Records” の どちらも1957年4月にリリースされましたが，全米チャートには 至りませんでした．

3回目のセッションは，オハイオ州クリーブランドのスタジオで行なわれ，リードボーカル “Kripp Johnson” の "Whispering Bells" と "Don't Be A Fool” をレコーディングしました．”Joe Averbach” は，このテイクに満足せず，さらに大きなシカゴのスタジオで両方の曲を再録音し，最終的に "Whispering Bells" は ”Ben Smith” のサックスをオーバーダビングしました．このシングルは， ”Fee Bee Records” と ”Dot Records” の どちらも 1957年5月にリリースされました．”Whispering Bells” は，”Come Go With Me” ほどではありませんが，“The Dell-Vikings” の2番目に大きなヒットとなり，全米R&Bチャート5位，Popチャート９位を記録しました．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Pittsburgh
Link > http://www.uncamarvy.com/DelVikings/delvikings52.jpg
Link > http://www.uncamarvy.com/DelVikings/delvikings.html
Link > https://www.discogs.com/ja/artist/2070784-Joey-Biscoe?noanv=1
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Ben_Smith_(musician)

1957年6月に ”Dot Records” からリリースされた ”The Dell-Vikings” の ”EP 452 - Come Go With Us” は，メガヒットを記録した ”Come Go With Me”（Side 1-1），”Whispering Bells”（Side 2-1） を含む4曲が収録されたEPレコード．厚紙ジャケットのカバー写真は，左から ”Kripp Johnson”，”David Lerchey”，”Norman Wright”，”Gus Backus”， ”Clarence Quick” ．1957年5月にリリースされた ”Whispering Bells” のヒットを受けて，4曲構成のEPをリリースしたものと思われます．"Side 2-2" は，C&Wシンガー ”Joey Biscoe” がリードボーカルを務めた曲で，"Fee Bee Records" の “Joe Averbach” が "The Dell-Vikings“ のバックアップとして 彼を招いたようです．

さて，ずいぶん昔の話になりますが，私がR&BやDooWop を聴き始めたのは 1970年代前半でした．この頃に発刊された「ロックへの視点」（カール・ベルツ 著，中村とうよう・三井徹 共訳）を購読，文末には 「参考レコード　1953-1963」という資料があって，R&B / R&R のレコードがリストアップされていました．その中でも，1957年に選曲された50曲は，まさに黄金期のベスト音源，”The Rays” の “Silhouettes”，”The Monotones” の “Book Of Love”，”The Silhouettes” の ”Get A Job” などを探しては オムニバスアルバムで聴いていました．そして 選曲されたのが 1957年を代表する “The Dell-Vikings” の ”Come Go With Me” と ”Whispering Bells” でした．しかし，そのR&R全盛期も，1958年以降は 急速にその勢いが終息していったと言われています．この辺の状況は，音楽評論家に任せることにしましょう．リードボーカル ”Norman Wright” / “Kripp Johnson” に ベースボーカル ”Clarence Quick” が絶妙に絡む ”Come Go With Me” と ”Whispering Bells” は，まさに R&R / DooWop の名曲中の名曲と言っても過言では ありませんね．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Silhouettes_(The_Rays_song)
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Book_of_Love_(The_Monotones_song)
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Get_a_Job_(song)

ジャケット，レコード盤ともに新品状態，60年以上 経過したとは 思えないコンディション．米国のオークションで購入したもので，おそらく デッドストック品と思われます．"DEP 1058" は，オークションやショップで 結構出回っていますが，出品されている写真と見比べてみても，これほど綺麗なものは めったに見ません．

1957年にリリースされた "DEP-1058" のラベルは，黒に銀の文字，"DOT" ロゴのスペルが 黄-赤-青 のカラーで表記されています．マトリックスナンバーは，スタンプ刻印で "Side 1" が "EPM-1120" ，"Side 2" が "EPM-1121．

Link > http://www.45cat.com/record/dep1058