＜Biography＞

DooWopボーカルグループ ”The Chesters” は，1957年にニューヨーク州ブルックリンで結成． オリジナルメンバーは ，”Jerome ‘Little Anthony’ Gourdine” （リード）， ”Tracy Lord”（ファーストテナー）， ”Ernest Wright”（セカンドテナー）， ”Clarence Collins”（バリトン），”Gloucester ‘Nate’ Rogers”（ベース）のクインテット．“The Chesters” は，1958年にグループ名を ”Little Anthony and The Imperials” に変更，“George Goldner” の ”End Records” から “Tears On My Pillow”（End 1027）をリリース．この曲は，R&Bチャート2位，Popチャート4位を記録，100万枚以上を売り上げ，裏面の "Two People In The World" もヒットしました．

”Little Anthony and The Imperials” は，1961年に一時解散しましたが，1963年に再結成，プロデューサー兼ソングライターの “Teddy Randazzo” は グループのボーカルスタイルを当時流行りのソウル・サウンドにマッチさせ，”I'm On The Outside (Looking In)”（1964年），”Goin' Out Of My Head”（1964年）， ”Hurt So Bad”（1965年）などの一連のヒット曲を発表しました．

1970年代半ばになると，”Little Anthony and The Imperials” の商業的な勢いは衰え，メンバーのラインアップも何度か変更されました．1992年，”Little Anthony"， ”Ernest Wright”， ”Clarence Collins”， ”Sammy Strain” は ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの公演のために再結成され，公演を成功させました．その後，2000年代初頭までツアーを続け，2008年にアルバム ”You'll Never Know” をリリース，2009年にロックの殿堂 “The Rock and Roll Hall of Fame” 入りを果たしました．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Little_Anthony_and_the_Imperials
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/End_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Teddy_Randazzo
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Sammy_Strain
LInk > https://en.wikipedia.org/wiki/Rock_and_Roll_Hall_of_Fame

1958年に “End Records” からリリースされ LPレコード ”End LP 303 - We Are The Imperials Featuring Little Anthony" は，大ヒットした "Tears On My Pillow" を含む ”The Imperials” の音源が12曲収録されたアルバム．内容は，シングル音源 8曲，EP音源 3曲，LP音源 1曲，そのうちのバラード が 9曲（Side 1-2 , 1-3 , 1-5 , 1-6 , 2-1 , 2-2 , 2-3 , 2-5 , 2-6），アップテンポが 3曲（Side 1-3 , 1-5 ,2-4）の構成です．”Two People In The World” は，"Tears On My Pillow" のb面の曲で これもヒットしました．アップテンポの "Cha Cha Henry"（Side 1-3）は，"Little Anthony" 以外のメンバーがリードボーカルを務めていて，資料を探しましたが 誰が歌っているのか 特定できませんでした．

“♪ You don’t remember me, but I remember you …♪” 　で始まる "Tears On My Pillow" は，”Little Anthony” の特徴的なハイトーンボイスに DooWopコーラスが絡む名作. この曲を聴くたびに何故か感動を覚えます． ”Two People In The World” は， ”Ernest Wright” が書いた文句なしの秀作． "Wishful Thinking" は，タイトなバックコーラス と ピアノの伴奏が印象的で なかなか良い曲です．ちなみに 1960年に “End Records” からリリースされ ”Little Anthony and The Imperials” の2枚目のLPレコード ”LP 311 - Shades Of The Forties” は，ポピュラーのスタンダードナンバーが収録されていて，DooWopサウンドとは 異質なものになっています．

Link > https://bsnpubs.com/roulette/end/end.html

”Little Anthony and The Imperials” の トップ10に入ったヒット曲と 収録されているオリジナルLPレコードを一覧にしました．"The Imperials" は，同じ ”End Records” の ”The Chantels”，“The Flamingos” と並んで人気を博しました．その最大のヒット曲となったのは，”Tears On My Pillow” でしたが，その後 “End Records” では ヒットに恵まれませんでした．有名な話ですが，”Neil Sedaka” が書いた “The Diary” を逃したことが知られています．その顛末については，ウェブサイト “Classic Urban Harmony” の アーティクル ”The Musical Legacy of Richard Barrett – Pt. 4 Little Anthony & the Imperials”（ “Charlie Horner” 著） に記載があり，"The Diary" に関する部分を要約してみました．

--- 　“George Goldner” は，”Richard Barrett” に ”End Records” の運営を任せていて，”Tears On My Pillow" の次の曲を "Neil Sedaka" が書いた ”The Diary” にするよう指示してヨーロッパ旅行に出発，”Richard Barrett” は この機会を利用して “The Imperials” に 自作の "So Much"を レコーディングさせました．”The Imperials” は，1958年11月29日に “Dick Clark’s Saturday Night Beechnut Show” に出演し ”So Much" を披露しました．このことに怒った ”Neil Sedaka” は， 自分で ”The Diary” をレコーディング，そのバージョンは すぐに Popチャートの15位まで上昇し，歌手としてのキャリアをスタートさせました．”The Imperials” の "So Much" は，R&Bチャートの24位，Popチャートの87位で 大きな評判には なりませんでした．”George Goldner” は，ニューヨークに戻り，”Richard Barrett” に激怒し，急いで "The Diary" をリリースさせましたが，その時には すでに手遅れでした．”Richard Barrett” は，後に「あれは，私が逃がしたものだ」と語っています．　---

たしかに ”Tears On My Pillow” と "The Diary" は，曲調が似ていて，"The Diary" が連続ヒットしていれば ”Little Anthony and The Imperials” は 真のレジェンドになれたかも知れませんね．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Neil_Sedaka
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Diary_(song)
Link > http://classicurbanharmony.net/articles/articles-by-us/
Link > http://classicurbanharmony.net/2016/02/Richard-Barretts-Part-4
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/George_Goldner
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Richie_Barrett
Link > Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Dick_Clark

“Little Anthony” は，”Winley Records”， ”Royal Roost Records” （1956年，”The Duponts”）， ”Apollo Records”　（1957年，”The Chesters”） で数曲をレコーディングした後，”End Records” で “Tears On My Pillow” が大ヒットして 一躍スターの座に就きました．1960年代に入ると “Newtime Records” や “Roulette Records” で DooWop / R&B をリリースしましたが，そのスタイルは ”End Records” 期の延長で人気は 低迷．転機となったのは，”Don Costa” の　 “DCP International” 　からリリースされたソウルフルな　”I'm On The Outside”，“Goin' Out of My Head”，”Hurt So Bad” が立て続けにヒットしたことで， ”Little Anthony and The Imperials" は 蘇りました．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Don_Costa

現在82歳となった “Little Anthony” ですが，グループのホームページを見ると オリジナルメンバーの ”Ernest Wright” と共に 音楽活動を継続しているようで，DooWopファンの一人としては うれしい限りです．あらためて LPレコード ”End LP 303 - We Are The Imperials Featuring Little Anthony" を聴いてみて， ”Tears On My Pillow” の素晴らしさは “Little Anthony” の癖のないリードボーカルと 控え目なDooWopコーラスがとてもシンプルなことで， 何度聴いても飽きのこない曲だと思うのですが...

Link > http://littleanthonyandtheimperials.org/

ジャケット表面は，ラミネート加工が施されていて なかなか豪華なつくり．ジャケット裏面は，上右側に ひし形の中に "D" の文字のスタンプ，下右側に汚れ，それ以外は 概ね良好なコンディションです．レコード盤は，擦れもなく綺麗，大きなノイズも ありません．ちなみに，ジャケット裏面の上側に四角い薄い汚れがい見えますが，これは 表裏の印刷紙の内側に貼られたテープの跡です．昔のLPレコードは，貼り合わせ部分が開かないように このような処理をしたのだと思われます．

"Grey 'dog' label" と言われる灰色に黒の文字のラベル．ラベルの上側に赤い "end" のロゴ，左側に犬の前の半分，右側に同じ犬の後の半分が描かれています．オリジナル盤のマトリックスナンバーは，"Side 1" が "GLP303A 1-14-59"，"Side 2" が "GLP303B 1-10-59"，ともにスクラッチ印字．リイシュー盤は，ラベル の下側に "A Product of End Music, Inc. New York N.Y." あるいは "A Division of Roulette Records, Inc." の文字が入るので コレクターは 要注意．

Link > http://bsnpubs.com/roulette/end/end.html