テナーサックス奏者 "Maxwell Davis” は，1916年 カンザス州インディペンデンスで生まれ，17歳で ”The Gene Coy Band” に加入，1937年にカリフォルニア州ロサンゼルスに移り，”The Fletcher Henderson Orchestra” で演奏を始めました．彼は，数年間 スウィング と ジャズ を演奏した後，1940年代中頃にウエストコーストのR&Bシーンに参入，急成長する独立系レーベルの ”Aladdin Records” などで セッション・ミュージシャン / 編曲者として活動するようになりました．また 彼は， ”The Jay McShann Band” と共演し，ブルース・シャウター の “Jimmy Witherspoon” を フィーチャーしたレコーディングを 行いました．"Maxwell Davis” は，1950年初頭までに ”Percy Mayfield”，”Peppermint Harris”，”Clarence ‘Gatemouth’ Brown”，”T-Bone Walker”，”Amos Milburn” など 数々の R&B / Blues ヒットに参加，1952年には “Federal Records” のために “Little Willie Littlefield” の "K. C. Loving" を編曲し演奏しました．

1955年 “Maxwell Davis” は， ”Aladdin Records” を離れ，”Modern Records” に移籍，音楽ディレクター / プロデューサーとして活動しました．彼は，レーベルの主要なバンドリーダーとして，曲を編曲し，ミュージシャンを発掘，”B. B. King”， “Jesse Belvin”， “The Teen Queens”， “Johnny 'Guitar' Watson”， “Richard Berry”， “The Cadets”， “The Jacks” など 多くのアーティストと数々の R&B / Blues ヒットをプロデュースしました．その後，彼の 成功は 減りましたが，”The Father Of West Coast R&B" として尊敬され，影響力のある重鎮と見なされるようになりました．“Maxwell Davis” の最後の仕事は，1969年 ソウルシンガー ”Z. Z. Hill” のプロデューサーとしての活動でした． 彼は，1970年9月に 心臓発作のために カリフォルニア州ロサンゼルス で亡くなりました．

※：ウェブサイト "Maxwell Davis"，"Wikipedia - Maxwell Davis" を参考にしました．
Link > https://maxwelldavismusic.com/bio
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Maxwell_Davis

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Fletcher_Henderson
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Aladdin_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Jimmy_Witherspoon
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Percy_Mayfield
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Peppermint_Harris
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Clarence_Gatemouth_Brown
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/T-Bone_Walker
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Amos_Milburn
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Federal_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Modern_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/B._B._King
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Jesse_Belvin
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Teen_Queens
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Johnny_Guitar_Watson
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Berry_(musician)
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Cadets_(group)
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Z._Z._Hill

1957年に “Aladdin Records” 傘下の "Score Records" からリリースされた LPレコード "SLP-4016 - Blue Tango" は， “Maxwell Davis” の テナーサックスをフィーチャーした アルバム．1956年に “Aladdin Records” からリリースされたLPレコード "LP-804 - Maxwell Davis and His Tenor Sax" と同じ内容のリイシュー盤です．収録曲は，シングルリリースされた 10曲，LP のためにレコーディングされた2曲（Side 2-2，Side 2-5）の12曲が収録されています．ジャケットは，ポートレイト のカラー写真．ちなみに，オリジナル盤のジャケットは ウェブサイト ”Both Sides Now Album Discographies” の "Aladdin / Score Album Discography" が参考になります．

”Aladdin Records” は，1957年に旧子会社名の “Score Records” を使って 格安LPのラインアップをスタートさせました．”Score Records” のアルバムは，すべて1.98ドルで，”Aladdin Records”，傘下の “West Records”， ”Orfeo Records”，”Intro Records” のアルバムのほとんどが ”Score Records” からリイシューされました．私は，”Score” 盤を6枚ほど所有していますが，入手困難な ”Aladdin” 盤に比べると 比較的に入手しやすいように思います．

Link > https://www.bsnpubs.com/aladdin/score.html
Link > https://www.bsnpubs.com/aladdin/aladdin.html

“Maxwell Davis” のCD音源は，2011年に英国の ”Fantastic Voyage / Future Noise Music LTD.” からリリースされた “CD FVTD130 - Wailin' Daddy (The Best Of Maxwell Davis, 1945-1959)” が最も充実した内容．3枚組のCDには，89曲が収録されていて，“Maxwell Davis” のシングル音源が31曲，“Maxwell Davis” が 演奏・編曲・プロデュースに関わったアーティストの音源が58曲 の構成です．

● CD1 – Bluesvill : The Best Of Maxwell’s Singles　31曲
● CD2 – Swingin’ An Echo : Blowin’ Through The ‘40s　28曲
● CD3 – Blow, Man, Blow : Rockin’ Through The ‘50s　30曲
Link > https://www.discogs.com/ja/Maxwell-Davis-Wailin-Daddy

このCDは，”Maxwell Davis” の 足跡をたどるうえで貴重な音源と言えるでしょう．彼は，1940年代後半 から ”Aladdin Records”，”Modern Records”， その他の独立系R&Bレーベルのために，ウエストコーストの無数のセッションを手がけ，数々のレコーディングに貢献したことが分ります．それにしても，89曲は かなり聴きごたえがあります．ちなみに CDのタイトルの “Wailin' Daddy”（Brunswick 9-84001）は，"Jerry Leiber and Mike Stoller" が書き，"Mabel Scott" が歌った曲で，”Maxwell Davis” のサックスがフィーチャーされています．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Jerry_Leiber_and_Mike_Stoller
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Mabel_Scott

さて，LPレコード "SLP-4016 - Blue Tango" の話しに戻りますが，1950年代初頭のリリースが10曲，1956年のリリースが 2曲．カバー曲では，”Maxwell Davis” のアレンジの妙が 際立ち，なかでも ”Leroy Anderson” の ”Blue Tango”，“Hank Williams” の “Hey, Good Lookin’ “ あたりが好きです．オリジナル曲では，”Hey Boy”， "Popsicle”， “Blue Shuffle” ， “Hot Point” の4曲． “Blue Shuffle” は， ”Lawdy Miss Clawdy” を想起させるニューオーリンズR&B風のダンスナンバーで アルバムの中では ちょっと異色な曲です．アルバム全体を通して，彼のテナーサックスのインスツルメントは，あまり古さを感じさせないところが良いですね．

作曲家 / プロデューサーの ”Mike Stoller” は，「 ”Maxwell Davis” は， 初期R&Bの無名のヒーローである．」と述べています．ウエストコーストの無数のセッションを手がけ，数々のレコーディングに貢献した ”Maxwell Davis” は，優れたテナーサックス奏者であり，素晴らしい編曲者であったと言えるでしょう．

Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Blue_Tango
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Hey,_Good_Lookin_(song)
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Lawdy_Miss_Clawdy

米国のオークションで落札したLPレコード．ジャケットの表面は，右上に小さな擦れがありますが，概ね綺麗なコンディション．裏面は，汚れと 額縁の右側に比較的大きなリングウエアがあります．ジャケットの貼り合わせは，上側に3cm位の割れ，四隅に擦れ．レコード盤は，針飛びや大きなノイズは 無く，表面も綺麗で "Score" 盤にしては 珍しくとても良好なコンディションです．

こげ茶に銀の文字のラベル，上部‎に "SCORE" のロゴ，その下の楕円の中に "FULL RANGE FIDELITY" の表記があります．ロゴの左右には，"LONG PLAYING" と "MICROGROOVE" の太文字があります．

"Microgroove" は，レコードラベル部にプレス時のスタンパーの影響でついた深い溝のことです．深溝の形状でオリジナル盤（初期プレス）かどうか判別できるようです．"Score" 盤には，同じ LPレコード でも「深い溝の形状」（初期プレス）と「浅い溝の形状」の2種類があります．これは，プレス時期によるものと思われまが，私が所有している "SLP-4016" は 後者の方です．

Link > https://www.bsnpubs.com/aladdin/score.html
Link > https://www.discogs.com/ja/release/978767-Maxwell-Davis-Blue-Tango