“Excello Records” は，テネシー州ナッシュビルに設立されたブルース・レーベルでした．“Excello Records” は，1952年に ”Ernie Young” がブルースをレコーディングするために，ゴスペル・レーベル ”Nashboro Records” の子会社として結成，”Jay D. Miller” がスタジオ・プロデューサーを務めました．1954年，”Arthur Gunter” は，”Eddy Arnold” のC&W曲 ”I Wanna Play House With You” のアンサーソング ”Baby, Let's Play House”（Excello 2047）をリリースし，ロックンロールに大きく貢献しました．この曲は，1年後に ”Elvis Presley” がカバーしました． ”Elvis Presley” のカバーバージョンは，”Arthur Gunter” の原曲を忠実に再現したものでした．

“Excello Records” は，今日でもコレクターの間で強い支持を得ている素晴らしいブルースシンガーが揃っていました．“Slim Harpo”（ ”James Moore” ）は，"I'm A King Bee”（Excello 2047）の中で「俺は キング・ビーだ，お前の巣の周りをブンブン飛び回る」と単調な声で蜂のようにブーンと うなる歌い方をしました．この曲は，後に “The Rolling Stones” などのグループによって真似されました．“Excello Records” の他のブルースシンガーには，”Lightnin' Slim”，“Silas Hogan”，“Lazy Lester”，“Lonesome Sundown” がいました．

1957年，リードシンガー ”Maurice Williams” を擁する “Excello Records” のDooWopボーカルグループ ”The Gladiolas” は，アップテンポの R&B曲 ”Little Darlin'”（Excello 2101）をリリース，R&Bチャートで11位を記録しました．この曲は，”Mercury Records” のボーカルグループ “The Diamonds” がカバー，言葉を少し変えてパロディ風にアレンジし，ポップスの大ヒットに押し上げました．今日，コレクターにとっては，オリジナルの ”Excello” 盤の方が 価値があります．”Maurice Williams” は，1960年にグループ名を ”Maurice Williams and The Zodiacs” に変え， ”Stay”（ “Herald Records” ）でトップテン入りの Pop ヒットを記録しました．

”Excello” 音源は，過去10年の間に何度か再販されています．1980年代後半から1990年代前半にかけて， ”Rhino Records” は マスターからいくつかのアルバムを発売しました．1990年代前半， ”Excello” 音源は “AVI Records Productions, Inc.” に売却されました．"AVI" の ”Rob Santos” は，”Tom Moulton” に依頼し， ”Excello” カタログのほぼ全てをリマスターし，アップグレードさせました．その結果，1993年から1996年にかけて，非常に優れたサウンドの多くがCDにリイシューされました．1997年には，"AVI" 自体が ”MCA Records” 傘下のレーベルである ”Hip-O Records” に買収されたため，”Excello” 音源は 再び再販されるようになりました．

※：ウェブサイト "Both Side Now Album Discographies" の冒頭解説を要約しました．

参考 : https://bsnpubs.com/tennessee/excello/excello.html

Link > https://bsnpubs.com/christian/nashboro.html
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/J._D._%22Jay%22_Miller
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Arthur_Gunter
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Slim_Harpo
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Lightnin%27_Slim
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Silas_Hogan
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Lazy_Lester
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Lonesome_Sundown
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Rolling_Stones
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Maurice_Williams_and_the_Zodiacs
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Rhino_Entertainment
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/AVI_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Moulton
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Hip-O_Records

1960年に “Excello Records” からリリースされLPレコード ”Excello LP-8001 - Tunes To Be Remembered” は，8000シリーズのセカンドアルバム，”Arthur Gunter”，”The Gladiolas"，”The Crescendos“， ”Slim Harpo” などの音源が12曲収録されたオムニバスアルバムです．レコードタイトル ”Tunes To Be Remembered” （想い出の曲）の通り，1960年初頭の “Oldies But Goodies” ブームを背景にリリースされたものと思われます．アルバムの構成は，"Side 1-4, Side 1-6, Side 2-3, Side 2-6" の4曲がインストゥルメンタル曲，それ以外は ボーカル曲です．

＜Artists' Profiles＞

● The Crecendos
”The Crescendos” は，ゴスペルグループ “The Spades” としてスタート，高校のタレントショーでラジオDJ ”Noel Ball” に見いだされた．"Nashboro Records" は，1957年，R&B / ロックンロールを扱う "Nasco Records" を結成．”The Crescendos” は，”Nasco Records” から ”Oh Julie” をリリース，R&Bチャート４位，Popチャート５位を記録．”Oh Julie” は，このレーベル の最大のヒット曲となり，約100万枚を売り上げた．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Crescendos
Link > https://www.discogs.com/artist/884125-Noel-Ball

● The Gladiolas
“Maurice Williams” は，1938年，サウスカロライナ州ランカスター 生まれ，1950年代後半から1960年代前半にかけ，“The Royal Charms”，”The Gladiolas”，“The Excellos”，”The Zodiacs” のリーダーとして グループを率いた．”The Gladiolas”，”The Zodiacs” では，DooWopの名曲 "Little Darlin'"， "Stay" （Herald 1466） をヒットさせた．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Maurice_Williams_and_the_Zodiacs

● Arthur Gunter
"Arthur Gunter" は，1926年，ジョージア州オグレソープ郡 生まれ，ブルースギタリスト，ブルースシンガー．後に "Elvis Presley" のヒットシングルとなる "Baby Let's Play House" で知られる．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Arthur_Gunter

● The Marigolds
“Johnny Bragg” は，ボーカルグループ “The Prisonaires” でリードを務めていた．“The Prisonaires” は，テネシー州立刑務所の受刑者のグループ．1954年，“Johnny Bragg”，”Hal Hebb”，”Henry ‘Dishrag’ Jones” は，新しいグループ “The Sunbeams” を結成，その後 “The Marigolds”，最終的に "The Solotones" に改名した．1955年から1956年にかけて，グループは “Excello Records” から “Rollin’ Stone / Why Don’t You” を含む5枚のシングルをリリースした．
Link > http://doo-wop.blogg.org/marigolds-c26503640

● Skippy Brooks and His Combo
“Skippy Brooks”（ “Edward Brooks” ）は，テキサス州ヒューストン生まれ（年齢不詳），ピアニスト．1950年代初頭，“Skippy Brooks” は “Clarence ‘Gate mouth’ Brown” のバンドメンバーとして，ナッシュビルのクラブシーンで初めて演奏．彼は，バンドリーダーとして，”Freddy Young”（アルトサックス）, “Clifford ‘Big Mac’ McCray” （ベース）, ”Kid King”（ドラムス）のコンボを監督する仕事を見つけた．多くのツアーミュージシャンが “Skippy Brooks” のコンボをバックバンドとして利用した．皮肉なことに，数え切れないほどの ”Excello” レコーディングに参加しながら，彼の名前は 1枚のシングル "Doin' The Horse / Dim Lights" にしか登場しない．
Link > https://www.tennessean.com/-excello-records-story/1998056002
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Clarence_%22Gatemouth%22_Brown

● Jimmy Beck and His Orchestra
“Jimmy Beck” は，1929年，オハイオ州クリーブランド生まれ，バンドリーダー，サックス奏者．1959年にリリースしたアップビートのインストゥルメンタル曲 “Pipe Dreams” で知られる．
Link > https://www.jango.com/music/Jimmy+Beck+His+Orchestra/_full_bio

● Warren Storm
"Warren Storm" は，1937年，ルイジアナ州アベビル生まれ，スワンプポップのパイオニア．12歳の時にケイジャン・バンドのドラマーだった父の代役としてスタート．カントリーグループの "Larry Brasso's Rhythm-Aires" と契約し，"The Herb Landry Band" に在籍することになった．その後，自身のコンボ "The We-Wows" を結成し，ルイジアナ南部のトップ・セッションドラマーとなった．"Nashboro Records" は，1957年，R&B / ロックンロールを扱う "Nasco Records" を結成．"Warren Storm" は，1958年に "Nasco Records" からリリースした "Prisoner's Song / Mama Mama Mama (Look What Your Little Boy's Done)" でソロデビューした．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Warren_Storm

● Kid King's Combo
"Kid Kings" は，ハウスバンドのドラマー（出身/年齢 不詳）．“Kid King’s Combo” の最初のシングル ”Banana Split” は，1953年7月に ”Excello Records” の10作目としてリリースされ，11月には “Billboard” の全米チャート ”Most Played In Juke Boxes” で6位を記録した．“Nashboro Records” と ”Excello records” にとっては， ”Banana Split” の成功は刺激的だった．“Kid King’s Combo” は，その音楽的スキルと多才さから “Excello” 初のハウスバンドとして貴重なものとなった．”Banana Split” が唯一のヒット曲となったが，このグループは 安定したレコードセールスを続けた．
Link > https://www.tennessean.com/-excello-records-story/1998056002

● Slim Harpo
"Slim Harpo"（ "James Moore" ）は，1924年，ルイジアナ州ロブデル生まれ，ルイジアナ・スワンプブルースの代表格で，商業的に最も成功したブルースシンガーの一人．彼は，ギターを演奏し，ハーモニカの達人でもある．最も影響力のあるレコーディングには，"I'm A King Bee"，"Rainin' In My Heart" （1961年），"Baby Scratch My Back"（1966年）がある．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Slim_Harpo

● Ray Norman
"Ray Norman" は，ロックンロール・シンガー（出身/年齢 不詳）．"Nashboro Records" は，1957年，R&B / ロックンロールを扱う "Nasco Records" を結成した．"Ray Norman" の "Mystery Of A Kiss / Heartbreak Station" は，彼がリリースした "Nasco Records" での唯一のシングル．
Link > https://www.rocky-52.net/chanteursn/norman_ray.htm

● Guitar Gable
"Guitar Gable”（ ”Gabriel Perrodin” ） は，1937年，ルイジアナ州セントランドリーパリッシュ生まれ，スワンプブルース のギタリスト．”This Should Go On Forever”（Excello 2153）のオリジナルバージョンをレコーディングしたことで知られる．彼は，1950年代から1960年代初頭にかけて，ルイジアナの活気あふれる スワンプブルースとポップシーンに参加した．
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Guitar_Gable
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/This_Should_Go_On_Forever

"Excello" のCD音源は，中古で購入した “PCD-2325 - "Slim Harpo Sings Raining In My Heart"，”PCD-2423 - Slim Harpo Baby Scratch My Back"，だいぶ昔に新品で購入した ”PCD-5186 - Little Darlin' Excellent Doo Wop Groups” の合計3枚．いずれも1990年代にリリースされた P-Vine のCDです．ライナーノーツは，鈴木啓志氏が書かれていて，“PCD-2325 と ”PCD-2423” には英語の歌詞が付いています．

“Slim Harpo” の CD “PCD-2325"と "PCD-2423" は，LPレコード "LP-8001 - Tunes To Be Remembered" の ”I’m A King Bee” を聴いて触発され，廃盤を探して購入しました．”I’m A King Bee” を聴いたときは，鳥肌が立つというか，ちょっとした感動を覚えましたね．”Excello” レーベルの筆頭が ブルースシンガー ”Slim Harpo” と言われるだけあって，癖のある鼻声と ゆったりとしたボーカルが良いです．”Raining In My Heart” も素晴らしい曲です．”Raining In My Heart” は，私的には アウトテイクのほうがお気に入りなのですが...

”PCD-5186 - Little Darlin' Excellent Doo Wop Groups” は，”The Gladiolas”（10曲）， ”The Marigolds”（5曲）， “The King Krooners”（4曲）， ”The Rhythm Casters”（2曲）， ”The Peacheroos”（2曲）， “The Five Chums”（1曲）， “The Themes”（1曲） の DooWop音源 25曲が収録されたCDです．注目は，やはり ”The Gladiolas” で，パーカッションが印象的なカリプソ風のDooWopサウンドが 聴くものを圧倒します．特に アップテンポの “Little Darlin'” ，Shoop Shoop” あたりが秀逸．未発表曲で 後に ”AVI Records” からシングル・リリースされた ”Be Bop Girl”（AVI 83126，1980年）は，異次元のイントロに “Norman Wade” の絶妙なベースとDooWopコーラスが絡み合う佳作．この曲，昔から好きです．

Link > https://ja.wikipedia.org/wiki/Pヴァイン
Link > https://ja.wikipedia.org/wiki/鈴木啓志

”Excello Records” のオリジナルLP は，8000シリーズの最初のLPレコード “Lightnin' Slim”（LP-8000）， “Roscoe Shelton” （LP-8002）， “Slim Harpo” （LP-8003） あたりが入手困難で，状態の悪いものでも ＄500から＄800位して，とても手が出せません．欲しかった ”LP-8002 - Roscoe Shelton Sings” は，断念して P-Vineの CDを購入しました．

愚痴は さておき，”Excello Records” は ”Nashboro Records” のブルース専門レーベルとして 1953年に結成，数多くのミュージシャンが在籍し，1970年代までリリースされたシングルは 300枚以上あります．反面，LPレコードは 30枚，ブルース，R&B / ロックンロール，DooWop を収録したオムニバスアルバムは ”Excello LP-8001 - Tunes To Be Remembered" の1枚だけなので，これはこれで 貴重な音源と言えるかもしれませんね．

米国のオークションで落札したLPレコード．ジャケットは，シュリンクラップが残っていて，ラップの上にプライスシールが貼ってあります．ジャケットのコーナーは，擦れがありますが，貼り合わせは 目立った損傷はなく，コンディションとしては 概ね良好．レコード盤は，針飛びや大きなノイズは 無く，表面も綺麗で 良好なコンディションです．

オレンジにブルーの文字のラベル，上部‎に "Excekko Records" のロゴ，その下に "Microgroove・Long Playing" の表記があります．

Link > http://vinylbeat.com/cgi-bin/labelfocus.cgi?label=EXCELLO_section=D,E,F