“The jesters” は，ニューヨークを拠点とした DooWopボーカルグループ．メンバーは，ハーレムのクーパー中学校の生徒で，1955年に音楽活動をスタート． オリジナルメンバーは， ”Lenny McKay” （リード），”Adam Jackson”（リード / ファルセットテナー） ，”J immy’ Smith” （セカンドテナー）， ”Leo Vincent” （バリトン）， ”Noel Grant“ （ベース）の5人．1957年にアポロシアターのアマチュア・コンテストで 3週間連続して 勝利した後，“Winley Records”　のオーナー ”Paul Winley” と契約を交わしました．”Paul Winley” は，“The Jesters”　のサウンドに感銘を受けただけでなく，レコーディングしていた “The Paragons” のサウンドの類似に気付きました． “The Jesters” の最初のシングル “So Strange / Love No One But You”（Winley 218）は，1957年の夏にニューヨークを中心にローカルヒットしました．”The Chantels” のヒット曲 ”The Plea”（Winley 225）のリメイクバージョンは,1958年にビルボードのポップチャートで74位になりましたが，他のレコードと同様に 主にニューヨークで販売されました．　1958年6月の ”I Laughed ／ Now That You’re Gone”（Cyclone 5011） は，オリジナルメンバー を フィーチャー した 最後の レコード でした．1960年， ”Adam Jackson”， ”Melvin Lewis”， “Jimmy Smith”， “Donald Lewis” の新しいラインナップは，1954年に ”The Diablos” が ヒットさせた ”The Wind” の リメイクバージョンをリリースしました．リメイクした ”The Wind”（Winley 242）は，“The Jesters” で最も成功した曲でした．グループのラインナップは，1974年に ”Adam Jackson” の兄弟 "Ronald Jackson” が加わったことで，後の数十年にわたって音楽活動を継続しました．

Link > http://www.uncamarvy.com/Jesters/jesters
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Winley_Records
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Chantels
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/The_Wind_(The_Diablos_song)

“The Paragons” は，1955年にニューヨーク州ブルックリンで結成されたDooWopボーカルグループ．オリジナルメンバーは， ”Julius McMichael”（リード），”Ben Frazier”（ファーストテナー），”Donald Travis”（セカンドテナー）， ”Ricky Jackson”（バリトン），”Al Brown”（ベース）の5人．リードボーカル ”Julius McMichael” の特異なファルセット と DooWopハーモニーで，1950年代後期に ニューヨークを代表するグループのひとつでした．"The Paragons" は，1957年にプロデューサー / ソングライターの ”Paul Winley” と契約，1957年2月に “Winley Records” から リードボーカル ”Julius McMichael” の “Florence / Hey Little School Girl”（Winley 215）をリリース，ニューヨークを中心にローカルヒットしました．”Julius McMichael” は，さらに 注目すべき　シングル ”Let's Start All Over Again"（Winley 220），"Twilight"（Winley 227）をリリースしました．1959年に ”Julius McMichael” がグループから去り，1960年以降は ”Bill Witt”，”Buddy Payne”，”Alan Moore” が　リードボーカルを務め， ”Winley Records”，“Musicraft Records”，“Tap Records” などに音源を残しました． ”Julius McMichael" は，カリフォルニアに移り，1965年にボーカルグループ "The Olympics" に加入しました．

Link > http://www.uncamarvy.com/Paragons/paragons.html
Link > https://www.discogs.com/artist/97322-The-Olympics

1960年に “Winley Records” から リリースされた LPレコード "War! The Jesters Vs. The Paragons" （Winley LP-6003）は，”The Jesters” と “The Paragons” の音源が各6曲，計12曲が収録されたオムニバスアルバム．このLPレコードは，1960年に "The Jesters" の "The Wind" の成功（全米チャート110位）を受けて リリースされたものと思われます．ジャケットの写真は，左上がセカンドメンバーの "The Jesters"（1960年），右下がオリジナルメンバーの "The Paragons"（1958年）． "The Jesters" の セカンドメンバーで ”Donald Lewis” と ”Melvin Lewis” の判別が難しく，”Marv Goldberg” のウェブサイトを参考に左を ”Donald Lewis”，右を ”Melvin Lewis” としました．

Link > https://www.lyrics.com/lyric/32051574/The+Diablos/The+Wind

さて，収録曲ですが，”Side 1” の "The Jesters" は 何と言っても バラード “The Wind”（Side 1-1） が良いですね．1980年代後半だったと思いますが，在日米軍向けラジオ放送（FEN）の “Dick Clark's Rock, Roll & Remember” なる番組で，この曲が 良くかかっていた記憶があります．“The Wind” は，1954年に “Nolan Strong and The Diablos” が ”Fortune Records” からリリースした曲がオリジナル，”The Diablos” の名作と比べてしまうと，ちょっと酷かもしれません．”Side 2” の "The Paragons" は，“Two Hearts Are Better Than One”（Side 2-6） が好きですね．リードボーカル ”Julius McMichael" のファルセットにバックコーラスが絡み合い，絶妙なDooWopサウンドを展開するバラード．特にドラムス と ピアノのインパクトのある伴奏も印象的で，これも なかなかの佳作です．曲調は， ”Let's Start All Over Again" に共通するところがあります．

“The Paragons” と “The Jesters” の ”Winley” 音源は，1959年に ”Jubilee Records” からリリースされたLPレコード “JLP-1098 – The Paragons Meet The Jesters” が有名．このアルバムは，正にニューヨークのDooWopサウンドを代表する不滅のクラシック音源と言っても過言ではありません．この音源を 初めて聴いたときは， “The Paragons” と “The Jesters” の区別ができなかったのですが，聴き込むほどに その違いと特徴がはっきりしてきました．後期の ”Winley” 音源である ”War! The Jesters Vs. The Paragons” は，前述の ”Jubilee” 音源を補完するという点では 貴重なアルバムと言えるでしょう．

ジャケットは，表面と裏面のコーナーにフォクシングや擦れがありますが，貼り合わせには 目立った損傷はなく，コンディションとしては 概ね良好．レコード盤は，数箇所にポップノイズがあります．それ以外は，針飛びや大きなノイズは ありません．

オレンジに黒の文字のラベル，上部‎に "Winley Records" のロゴ，その下に住所と電話番号の表記 "322 W. 125 St., N. Y . C. UN 6-1555" があります．