1950年代初頭にミシガン州デトロイトで結成されたR&Bボーカルグループ "The Royals" が "The Midnighters" の前身グループ，当初は "Henry Booth"（リード），"Charles Sutton"（テナー），"Lawson Smith"（バリトン），"Sonny Woods"（ベース）にギターリスト "Alonzo Tucker" のメンバーでしたが， "Lawson Smith" が抜け， "Sonny Woods" の友人 "Hank Ballard" がリードボーカルとして加入．R&B界の大御所 "Johnny Otis" に見出された "The Royals" は，"Johnny Otis" がマネージャーとなり，オハイオ州シンシナティの "Federal Records" と契約を結びました．1953年にミドルテンポのR&Bナンバー "Get It" をリリース，曲のスタイルも新しかったことから，R&Bチャート6位のヒットを記録，グループ名 "The Royals" が "The '5' Royales" に似ていたため，1954年以降は "The Midnighters" に改名しました．

1954年には，リードボーカル "Hank Ballard" がソウルフルにシャウトするセクシャルなR&Bナンバー "Work With Me, Annie"，"Sexy Ways"，"Annie Had A Baby"，"Annie's Aunt Fannie" の一連の曲がR&Bチャートのトップ10にランクインされるなど，"The Midnighters" は 全盛期を迎えました．この頃の "The Midnighters" の影響力は，多数のアーティストがアンサーソングをリリースしていることでも判るのですが，"Etta James" と "Richard Berry" が組んだ "Dance with Me, Henry"（別名 "Roll With Me, Henry"， "The Wallflower"）が有名，1955年にリリースされたこの曲は R&Bチャート1位を記録，"Etta James" の最初のヒット曲でした．

1959年以降は，"Federal Records" の親会社 "King Records" から "Hank Ballard and The Midnighters" の名前でレコードをリリース，最初のシングルレコードA面 "Teadrops On Your Letter" は，ブルージーなバラードで R&Bチャートの4位を記録，B面のダンスナンバー "The Twist" もR&Bチャートの16位を記録しました．B面の "Twist" は，1960年に "Chubby Checker" がカバー，フィラデルフィアに本拠を置く "Cameo-Parkway Records" からリリースされると，Popチャート1位を記録，その後 世界的なツイストのダンスブームが起こり，多くのアーティストがツイストを題材にしたダンスナンバーをリリースしました．"Hank Ballard" のオリジナルバージョンは，1960年に再リリースされ，R&Bチャート6位を記録，以後 "Hank Ballard and The Midnighters" は "Lets' Go, Let's Go, Let's Go"，"Finger Poppin' Time" に代表されるダンスナンバーをトレードマークとし，1961年頃まで快調にヒットを連発．しかしワンパターンのダンス路線は飽きられ，人気は低迷，"The Midnighters" は 1965年頃に解散，"Hank Ballard は その後 ソロシンガーとして音楽活動を継続しました．

"Hank Ballard and The Midnighters" は，1980年代中頃に再結成され，オールディーズショーなどでステージ活動を始めました．2000年5月には，歴史的音楽ライブ "Doo Wop50"（1999年5月）の続編 "Doo Wop51" に登場，リードボーカル "Hank Ballard" は ステージパフォーマンスで元気なところを見せてくれたのですが，2003年3月に病気のため75歳で亡くなりました．R&R創成期からアーリーソウル期まで，数々のヒット曲をR&Bチャートに送り込んだ名アーティスト，またソングライターでもある "Hank Ballard" の日本での知名度は著しく低いのですが，"Federal/King" セッションのソウルフルなジャンプナンバーとバラードは 秀作揃い，残された音源をじっくり聴いていきたいと思います．

Link > http://www.uncamarvy.com/Royals/royals.html
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/The_Midnighters
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/Hank_Ballard
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/Johnny_Otis
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/Etta_James
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Berry
Link > http://www.youtube.com/watch?v=IhGmF09zgkw_ (Dance with Me, Henry)
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/The_Wallflower_(Dance_with_Me,_Henry)
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/The_Twist_(song)
Link > http://en.wikipedia.org/wiki/Twist_(dance)

＜Doo Wop 51＞
"Hank Ballard and The Midnighters" は "Doo Wop51 Volume One" に登場，"Lets' Go, Let's Go, Let's Go"，"Annie Had A Baby" のステージパフォーマンスを披露．

ウィキペディアを参考に，R&Bチャートのトップ10に入ったヒット曲とリリースされたオリジナルLPレコードを一覧にしてみました．これだけ数多くのヒット曲をチャートに送り込んだ "Hank Ballard and The Midnightersr" は，R&Bのパイオニアと言っても過言ではないでしょう．

"Federal/King Records" からリリースされた "Hank Ballard and The Midnighters" のLPレコードは，全盛期の500シリーズから活動後期の700シリーズまでオリジナル盤10枚，ファーストプレスは なかなか入手困難な物もあり，所有しているLPレコードの中には，一部リイシュー盤が含まれています．ファーストアルバム "The Midnighters Their Greatest Hits"（Federal 541）のカバー写真は，メンバーの写真が赤，セカンドバージョンは，同じデザインでメンバーの写真が黄，2枚目のLPレコード "The Midnighters Volume Two"（Federal 581）は，カバー写真に "Hank Ballard" が写っていないめずらしいアルバムです．

Link > http://www.soulfulkindamusic.net/hballard.htm

"Hank Ballard and The Midnighters" は，1953年からの1955年位までが全盛期，"Hank Ballards" のソウルフルにシャウトするリードボーカルもさることながら，ブルージーなバックコーラスとバックバンドが絡むところが魅力．"Alonzo Tucker"，"Arthur Porter" に代わってグループに参加したテキサス州出身のギターリスト "Cal Green" のブルージーな電撃ギター "Tore Up Over You"，"Open Up The Back Door" あたりも聴きどころの名グループです．1959年以降は，"The Twist"，"Finger Poppin' Time" などのダンスナンバーが多くなるものの，ブルースに根ざしたソウルフルなR&Bナンバーは変わることなく一貫していて，この時期から 名ギターリストの "Billy Davis" がグループに参加してしています．

Link > https://www.allmusic.com/artist/cal-green-mn0000539782/biography
Link > https://en.wikipedia.org/wiki/Billy_Davis_(guitarist)